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 初めての国際学会に参加して−CLEFT2010

韓国訪問記:ワクワクドキドキの5日間− 手塚 征宏


私は今年入局した大学院一年目の手塚と申します。研究テーマとして口蓋裂の言語をもらって日々精進しているところです。2010年6月、私は韓国、ソウルで行われた口蓋裂の国際学会‘CLEFT2010’に中村典史教授、西原一秀先生、緒方祐子先生と共に参加してきました。今年、入局したばかりで、あまり学会に参加したことのない私が国際学会に行くなんてと初めは驚きましたが、今はとてもいい経験と勉強になったと感謝しております。
 2010年6月9日、鹿児島空港よりソウルへ。鹿児島空港では、国際線のトイレで緒方先生がすべて入ったバッグごとを忘れて、15分ほど気づかず、慌てて取りに行くと無事財布があったという、鹿児島空港の国際線の利用者の少なさを如実に表すという事件があり、波乱の幕開けとなりました。飛行時間は1時間30分と意外と短く、あっという間にソウルへ到着しました。仁川国際空港は非常に広い、そして何より新しい!ソウルへやってきたと実感しました。
 さっそくソウル市内東大門のそばのホテルへ向かい、明日からの学会に備えて会場の下見へとソウル大学病院へ向いました。


さすが韓国の最高学府、ソウル大学。歯学部の附属病院は8階建てで非常に新しく、近代的な病院でした。働いている職員の方々もSeoul National University Dental Hospitalの頭文字をとったSNUDHのロゴが入ったおしゃれすぎる白衣を着こなして、颯爽と歩いていました。  
 その日の夜は、ソウル大学のミン名誉教授を囲んでの日韓の親睦会が準備されていたので参加させていただきました。なぜ、今自分はここにいるのだろうと来たことを後悔してしまうくらい日本も韓国もとにかく教科書で名前を見るような偉い先生方ばかりが参加しており、しかも偉い教授陣の集まるテーブルに座ってしまい、自分は何をしているんだろうと思いながら先生方のありがたい話を聞かしていただきました。メニューは韓国の宮廷料理で次から次へと料理が運ばれてくるのですが、緊張でそれどころではなく・・・また韓国の宮廷料理は味が独特で辛かったり、甘かったりと、韓国に来たんだなと実感した夜になりました。


親睦会の後、鹿大のメンバー4人でホテル近くの屋台へと行きました。韓国のおばちゃんに日本語はもちろん英語も通じず、もう満腹だから少しでいいと身振り手振りで注文したのにも関わらず、大量の肉とトッポッキの辛みそ炒めが・・・(これがめちゃくちゃ辛い!!!)辛さに負けそうになりながら、ヒーヒー言いながら頑張って食べました。
 二日目。いよいよ学会です。朝は八時から始まります。コーヒーを片手にみなさん、ああちらこちらで握手をしたり、談笑したり、これが国際学会なのかと一人わくわくしていたのも束の間、シンポジウムが始まると、英語、英語、英語。質疑応答も活発!行く前から分かっていたことなのですが、やはり自分の英語力の未熟さを実感させられ、これからまだまだ頑張らなければならないと痛感しました。ここはやはり国際学会、さまざまな国が発表していて、手術法に関することや、症例報告、疫学、遺伝子解析など発表の形式も特色がありました。
 夜は、ソウル大学の歯学部生に教えてもらった、レストランでチジミ、プルコギなど韓国料理を食べ、中村教授の明朝のセッションの座長と発表に備えました。


三日目。いよいよ、中村教授の発表です。こっちまで緊張しながら一番前に座って、教授の発表を待ちました。今回の教授の発表の内容は両側性口唇口蓋裂の鼻の変形の二次修正の3-D解析についてでした。会場の一番前には国際口蓋裂協会会長でアメリカテキサス大学の形成外科Dr.Salyeが足をくんで見つめるなか、中村教授は流暢な英語で発表をし、質疑応答もそつなくこなし、僕も安堵しました。西原先生、緒方先生もポスター展示を行いました。ポスターは展示のみでしたが、症例報告はもちろんのこと、社会活動や、speechなど興味深い内容がたくさんありました。もちろんポスターもすべて英語でしたので、読むのに時間がかかったのは言うまでもありません。



発表が終わって、緊張から解き放たれた教授と共に韓国の街を探索しました。ソウルの市庁近くにある、韓国でも有名な土俗村(トソッチョン)という店のサムゲタンを食べ、(辛い食べ物ばかり食べていたのでホントにうまかった)街を歩くとたくさんの人だらけでソウルは都会だなと痛感しました。そして、その頃6月と言えばワールドカップ!!!韓国は応援がすごい、いや、すごすぎます。翌日が韓国の初戦ということもあり市庁広場には特大ビジョンが用意され、着々と応援会場の準備がすすんでいました。


四日目。学会最終日にして、英語にもだいぶ慣れてきました。その日偶然にも隣に座られた英国紳士がBrian Sommerladさんでした。彼の論文を読んだ事があったので、話してもいないのに、隣に座ったというだけで心の中で仲良くなった気になっていました。最後のセッションはSpeech Language Pathologyで海外の言語評価や言語訓練や粘膜下口蓋裂について、非常に興味深い内容を聞けました。緒方先生も緊張の面持ちで質問していました。自分も次また国際学会に参加できる機会があれば、英語でバンバン質問したいと思います。 韓国最終日の夜、ワールドカップ韓国の初戦の日と重なりました。前にも書きましたが、韓国人は愛国心が強く、老若男女関係なく、みんなで韓国を応援します。なのでその日も応援グッズ(基本的に赤い!韓国のカラーは赤なので)が街の至る所で売られており、自分たちも韓国人にまぎれて赤いTシャツを購入。さっそく、大韓民国とハングルで書かれた赤いTシャツを着込み、焼肉を食べ応援会場の市庁広場へ向かいました。人に押しつぶされて死んでしまうんじゃないかと思うくらいの人、人、人(みんな赤い服を着た韓国人)で、韓国人になり済まして応援しました。「テーハミング」(ハングルで大韓民国のこと)の大合唱をしながら、韓国がプレーする度に地響きのような歓声が上がりみんなが飛び上がって喜びます(気づいたら、私たちも飛び跳ねて喜んでいました)。そして奇跡的な一瞬がやってきました。韓国の初戦、ギリシャとの戦いでパクチソンがドリブルシュートを決め、ソウルの街が揺れるほどの大歓声でめちゃくちゃ盛り上がりました。アリランの大合唱で、一緒になって歌っている自分がそこにはいました。(日本に帰ってからも、韓国戦はチェックしてしまいました。)


最終日、朝早く起床し、バスに揺られて空港へ。昼ごろには無事鹿児島へ。
 国際学会は非常に刺激的で、有意義で、何から何までが初めてで勉強させられっぱなしの五日間でした。これからもしっかり勉強しなければと思うと同時に、英語の大切さにも気付かされました。これから、臨床、研究とますます精進していきたいと思います。 最後になりましたが、このような貴重な経験を与えてくださり、快く送り出してくださった医局の先生方に深く感謝いたします。


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