小児の顎顔面軟組織形態における3次元的成長変化の経年評価

村上 大輔 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 小児歯科学分野

【概要】 

 


顎顔面の形態は歯科だけではなく、様々な研究分野で注目されている。これまで、顎顔面形態の3次元的成長変化に関する研究は、成人を対象にしたものはいくつか報告されているものの、小児については十分な知見が得られていない現状がある。そこで本研究では、小児の顎顔面軟組織形態を経年評価することで、3次元的成長変化を明らかにする。

 

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 対象は鹿児島県内で経年計測が可能である健康な3~5歳児(80名)とし、顔面形状の計測は、非接触型3次元デジタイザVIVID910((株)コニカミノルタセンシング,大阪,以下 VIVID)を用いて行った。VIVIDによる計測で得られた顔面軟組織の形態データから、図のように16点の顔面計測基準点(以下 基準点)をコンピュータ上でプロットした。解析は、基準点を3次元座標系に座標変換した後、(1) 2点間距離に関する13項目の解析と、(2) 各基準点の3次元的成長変化について、同一人物の3歳と4歳、4歳と5歳の比較をt検定により行った。

 

 (1) 直線距離に関する13項目の解析について、顔の幅径の成長に関しては3~4歳、4~5歳を通して中顔面に有意差がみられた。一方、顔の長径の成長に関しては、3~4歳に比べ、4~5歳において大きい傾向がみられたものの、下顔面の長径に関する項目では有意差はみられなかった。また、鼻の高さの成長に関しては、3~4歳、4~5歳を通して有意差がみられた。(2) 各基準点の3次元的成長方向の解析について、顔の左右方向には3~4歳、4~5歳を通して成長が認められた。一方、顔の上下方向に関しては3~4歳に比べ、4~5歳において成長が大きくなる傾向がみられた。

 

 小児期の口腔機能不全や不正咬合は、成長に伴い顎顔面に影響を及ぼすと言われている。その両者の関係性を明らかにするためには、小児の顎顔面軟組織の成長についての知見を深める必要がある。本研究では、これまで明らかとされていなかった顎顔面軟組織形態における、3~4歳、4~5歳の成長変化の相同性、相違性を明確にすることができた。本研究の結果および評価方法は、小児の顎顔面軟組織の成長を解明する一助になることが期待される。

 

 

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