健康長寿社会の実現に貢献する歯科医療人養成

Problem-Solving Oriented Training Program for Advanced Medical Personnel

project schema

事業の背景・目的

 本事業(課題解決型高度医療人材養成プログラム、平成26年度度予算額:総額10億円)では、我が国が抱える医療現場の諸課題等に対して、科学的根拠に基づいた医療が提供でき、健康長寿社会の実現に寄与できる優れた医療人材を養成するため、大学自らが体系立てられた特色ある教育プログラム・コースを構築し、全国に普及させ得るべく、これからの時代に応じた医療人材の養成に取り組む事業を選定し支援します。(文部科学省のページ)

pdf課題解決型高度医療人材養成プログラム「健康長寿社会の実現に貢献する歯科医療人養成」(申請書)

概要

 人口の超高齢化に伴い歯科医療のニーズは劇的に変化している。う蝕、歯周病やその結果生じる歯周組織・歯の欠損を対象とした従来型の歯科医療に加えて、「口腔健康から全身健康に寄与する歯科医療」、さらに「急性期、回復期、維持期、在宅介護そして終末期医療をサポートする口腔機能管理ひいては栄養・感染管理に関わる歯科医療」が求められている。一方で、現在の歯科医療・歯学教育は次のような課題を抱えている。 1.死生学教育の欠如:歯科医師は、患者の死に寄り添うことに慣れておらず、周術期管理や要介護高齢者における歯科的介入に健康保険が適応されても、歯科医師の参入が定着しない。 2.医科歯科連携教育の不足:口腔感染・口腔機能異常と関連がある全身疾患が多数存在するにも関わらず、これらに対する医学知識やリハビリテーション等は十分体系付けられて教育されていない。また、健康な患者に行われる歯科的診断と治療技術が要介護者にそのままあてはめられないことがある。 3.多職種連携や医療法制教育の不足:住まい・医療・介護・予防・生活支援が要介護者等へ包括的かつ継続的に提供されるための地域包括ケアや多職種連携システムに貢献できるプライマリケア歯科医が少ない。 4.臨地実習の場の不足:生活の自立度が高い大学附属病院における外来歯科患者を扱う従来型の歯学教育では、健康長寿社会の実現に必要とされる広範な医療ニーズに応える歯科医師を輩出することが難しい。 5.教育機会の不均等、共通教育ツールの不足:終末期ケアを含む在宅介護医療に対する教育シス テム(講義・実習)は、医学領域では地域医療の場や多職種連携組織と密接に関連付けられて確立されつつあるが、歯学領域ではそれに値するような教育改革が生まれていない。 6.臨床研究能力や研究フィールドの不足:周術期管理や要介護高齢者における歯科的介入を支える臨床エビデンスや基礎的知見が不足している。

 実績のある国立大学歯学部と医学部を擁する私立大学歯学部、特色ある医学部歯科口腔外科が協力して、各大学の医療系学部の協力のもと、縦割りを排した新しい次元の医科歯科連携教育や在宅歯科医療学を構築、それを全国レベルで均てん化する。加えて、東京大学死生学・応用倫理センター、高齢社会総合研究機構の協力のもと死生学や地域包括ケアに関する教育を導入する。また、東京都健康長寿医療センター、国立長寿医療研究センターの協力を得て、認知症等に対する最新の知識と歯科的対応を系統立てて学べる様にする。その結果、適切な死生観に基づき、患者の病床、介護現場や終末期に寄り添えるプライマリケア歯科医を養成する。また、口腔から全身健康に寄与でき、急性期、回復期、維持期、在宅介護現場に対応できる歯科医を育てる。さらには、高齢者の「食」を基盤とした健康増進、介護予防、虚弱予防を目指した新しい歯学教育・研究を推進する。

 申請担当大学である岡山大学は、そのミッションとして、超高齢社会における医療現場や地域社会の福祉につながるリサーチマインドに溢れた歯科医療人の養成、具体的には、口腔感染症と全身疾患、加齢や各種疾患による摂食・嚥下・発音機能低下、口腔運動疾患、口腔領域のがん、小児・希少疾患、難病等に関する診療を通じて、超高齢社会における歯科医療の向上に貢献するとともに、医科歯科連携による診療を推進することを掲げている。連携大学である北海道大学は、有病者・障害者に対する治療大阪大学は内科的歯科医療九州大学は口腔疾患と全身健康に関する研究長崎大学は離島等の地域歯科医療を担う歯科医師養成鹿児島大学は地域・へき地・高齢者歯科医療に貢献できる人材養成をミッションに掲げており、本事業の目的に完全に合致している。また、昭和大学は大変先進的な医歯薬保健学連携教育を、日本大学は先導的な摂食嚥下リハビリテーション教育を行ってきた。岩手医科大学と兵庫医科大学は、被災地における多職種連携教育金沢大学と兵庫医科大学は歯学部を擁さない医学部組織において周術期口腔管理学や医科歯科連携教育を展開してきた強みがあり、本申請目的に強く合致している。