症状と原因
皮膚と同様に、口の中の粘膜にも多種多様な病気が発生します。症状としてはヒリヒリ感、ただれ、盛り上がり、赤・白・黒への変色、乾き、味覚異常など多岐にわたります。
原因としては食べ物などの刺激、細菌感染、ウィルス感染や免疫の異常などが主ですが、全身的な病気の部分症状や薬の副作用として現れることもあります。また現在も原因が解明されていない病気も多くあります。
口の粘膜の代表的な病気に「アフタ性口内炎」があります。誰でも一度は経験したことがあると思われますが、口の粘膜に直径数ミリの丸くて白いただれの周りを赤みが取り囲み、食べ物などの接触により強い痛みを感じます。軟膏やうがい薬で治療を行います。しばらくすると治ることがほとんどですが、再発を繰り返す場合もあります。
悪性化することがある粘膜の病気
粘膜の病気の中には、長年かかって悪性化し口腔がん(こうくうがん)を生じるものがあります。これらの病気は一度できると再発しやすく、数年〜十数年以上経過した後に悪性化することもあり、治療後も含めて長期の経過観察が必要です。また、これらの病気は口腔がんやその他の病気と見分けるのが難しい場合がありますので、専門家による診察をお勧めします。
白板症(はくばんしょう)
舌、歯ぐき、頬の粘膜などにできる白い斑点で、ぬぐっても除去されることはありません。がんになりやすい粘膜の病気の中で最も頻度が高く、いったん生じるとその発がん率は数%〜十数%といわれます。一般的には痛みはありませんが、食べ物がしみたりものが当たると痛いことがあります。お薬を使うこともありますが、発癌を予防する目的で外科的に切除することがほとんどです。
紅板症(こうばんしょう)
白板症と同じように舌、歯ぐき、頬の粘膜などに生じる病気です。ビロードに例えられる鮮やかな赤色が特徴です。白板症に比べて頻度は低いものの悪性化の確率は高く50%程度といわれています。治療法は切除が基本ですが、紅板症は一部が既にがん化しているものも多いため診断と治療には注意が必要です。
(日本口腔外科学会ホームページより)
扁平苔癬(へんぺいたいせん)
皮膚にも生じる病気で、口の粘膜にできるものを特に口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)といいます。両方の頬にできることが多いですが、歯ぐき、唇、舌にも生じます。レースのような白い線や斑点が粘膜にでき、周囲にただれや赤みを伴うことがあります。調味料や暖かいものによりしみたり痛みを感じることが多いです。金属アレルギーをはじめ免疫の異常が関係していると言われますが、正確な原因は不明です。軟膏やうがい薬で治療することが多いですが難治性の場合が多く、非常に長い経過をたどったのちに悪性化する場合があります。
文責:浜田倫史