15. 入院に際して
出生後から、様々な不安を乗り越え、入院の日を迎えられたことを、心からお喜び申し上げます。
私たち看護師は、子供さんやお母さんをはじめ、ご家族の皆様が、安心して入院し、手術を受けていただけるように、お手伝いしたいと思っています。各時期に必要な説明をいたしますが、心配なことなどありましたら、いつでも相談ください。
入院・手術日の決定について
入院・手術日は子供さんの成長に合わせて決定されます。入院・手術日が決まりましたら、外来看護師が「入院の手続き」、「準備物品」、「入院当日の病棟案内」などを説明します。もし、子供さんの哺乳(母乳保育の方)や食事・アレルギーなど、心配な点がありましたらお気軽に相談してください。入院期間は口唇裂手術、口蓋裂手術ともに約2週間くらいです。
病棟は歯科診療棟の4階で、入院生活に関する具体的な説明は、入院当日に病棟看護師がオリエンテーションします。
<母乳の方へ>
手術後は直接授乳できないので、手術前に搾乳し冷凍保存するのもよいでしょう。詳しくはスタッフにお尋ねください。
入院準備と心構え
入院の1週間前から毎日決まった時間に体温を測り、子供さんの平熱を確認し、手術の1か月前後は予防接種を避けてください。
口蓋裂手術を控えている子供さんは、1歳を目途に哺乳瓶をやめる準備をしましょう。哺乳瓶をやめるには、コップで飲めることが必要ですが、赤ちゃんは突然コップを使えるわけではありませんので、離乳食を開始したらスプーンから、徐々にお椀から直接飲めるように、さらにコップから飲む練習を開始しましょう。このように早くから準備しておく事で、スムーズな切り替えができます。
子供さんの入院期間中、ご兄弟のお世話をしていただける方がいない場合は、乳児院などの施設へ援助を依頼することもできますので、外来看護師へご相談ください。
入院時に持参する物
持ち物にはすべて名前を記入し、新しい衣類は一度水洗いしてからご持参ください。詳細は別途お知らせします。
入院当日について
午前10時までに、口腔顎顔面センター外来(3F)にお越しください。熱を測り、歯科医師の診察の後、入院手続きをしていただきますが、どうしても都合が悪くなった、遅れる、風邪をひいた等、何等かの不都合が生じた場合には早めに外来までご連絡ください。
付き添いについて
入院すると、子供さんはもちろんですがお母さんも慣れない環境で生活リズムが崩れてしまいますので、入院前より十分に体調を整えておきましょう。子供さんの入院中、お母さんの体調不良等ありましたら、看護師にご相談ください。
食事・入浴など
お母さんの食事は各自でご準備していただきます。病院内の売店や病院前のスーパーで購入できます。また、お母さんは有料寝具を借りて子供さんのベッドの横で就寝していただいています。有料寝具の申し込みは、入院後1階の売店で行っていただきます。
入浴は病棟の浴室を夕方に利用していただいています。収納スペースは限られていますので、荷物は必要最小限にお願いいたします。
手術後の様子について
(1)口唇裂手術
手術後は点滴と呼吸を助けるために酸素マスクを使用し、嘔吐を防ぐために鼻からチュ−ブが入っています。術後は落ち着いてから、各種乳首で哺乳します(使用方法は手術前に説明します)。術後の初回授乳は、看護師が一緒におこないます。手術直後はぐずつくこともありますが、徐々に慣れていきます。
傷の安静のために、入院期間中は腕カバーを装着していただきますが、お母さんがそばにいる間は腕カバーをはずして両腕の運動をさせましょう。退院後は、腕カバーは不要です。
(2)口蓋裂手術
手術後、数日間は嚥下痛があり、食事の量が減少したりしますので、点滴をおこなう期間が口唇裂手術時より長くなります。食事もジュースや重湯などの水分や流動食から徐々に始まりますので、食事の際は、ふちの丸いプラスチック製のスプーンをご使用ください。手術後7日目ごろに口蓋に装着しているプラスチックのプレートをはずしますが、それまでは口腔内をきれいにするために、食後に白湯やお茶などを飲ませてください。プレートをはずしたあと数日間は、また流動食から開始し、傷の観察をしながら徐々に食事の形態が変わります。