6. 哺乳障害とHOTZ床・NAM
口蓋裂の赤ちゃんでは上あごが割れているため、母乳やミルクを吸う力が弱く、哺乳がうまくできないことがあります。このような哺乳の問題は、赤ちゃんが最初に直面する問題でお母さんにとっても大きな不安となります。
哺乳は栄養以外に口腔機能の発達や口唇、あごの発育を促すという重要な役割もあります。専門外来では生後早期よりHOTZ(ホッツ)床(しょう)(図4−A)と呼ばれるプラスチック製のプレート(人工口蓋床)を使用し、上あごの割れた部分をふさぐことでミルクを上手に飲めるようにしています。また、HOTZ床には上あごの正常な成長を促す効果もあります。
図4−A HOTZ床
上あごの割れている幅が狭くなっている
図4−B(左:初診時模型 右:口唇手術直前)
さらに口唇裂がある赤ちゃんの場合、HOTZ床に鼻を持ち上げる装置を追加したNAM(図4−C)という術前外鼻修正装置を用いて、口唇形成術までに鼻の形をよりよい状態に近づける治療もおこなっています。
HOTZ床を使用している間は、1か月に2〜3回通院していただき、上あごの成長に合わせた調整をおこないます。
図4−C
NAM(左:装置 中央:装着前 右:装着時)