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5. 治療の手順

 口唇口蓋裂の患者さんには、前述の通りいろいろな問題が見られることがあります。問題を一つずつ解決し、子供さんの健やかな成長発達のために、総合的な観点から口唇口蓋裂治療をおこなうことがよいといわれています。口唇口蓋裂の治療期間は短くありませんが、口唇口蓋裂による問題は必ず解決していきますので、焦らないでください。
 なお、口唇裂・口蓋裂の治療に関わる入院手術や矯正治療の費用については、18歳の誕生日の前日まで自立支援医療制度(旧 育成医療制度)が適用されます。 

初診から口唇形成術まで

患者さんを診察した後に哺乳指導をおこない、患者さんのご家族には今後の治療スケジュールについてオリエンテーションをおこないます。また、口蓋形態と哺乳障害を改善するためにHOTZ床(ホッツしょう)(人工口蓋床)を、鼻の変形があるときには鼻の形態を改善するNAM(ナム)という装置を装着して、よりよい手術成績になるように努めます。口唇形成術は生後3〜4か月頃におこなうため、時期が近づいたら全身状態をチェックし、全身麻酔や手術に備えます。口唇形成術は入院、全身麻酔下でおこない、手術後はおよそ2週間で退院となります。

口唇形成術後から口蓋形成術まで

口唇形成術退院後は、外来にて傷の状態を観察します。傷が目立たなくなるようにテープを傷に貼ったり、内服薬を服用したりして術後3か月までは月1回、その後は3か月毎に診察します.HOTZ床は引き続き使用し、上あごの形態の改善を図ります。生後6か月前後になると歯が生えてきますので、虫歯にならないように口腔衛生管理を始めていきます。口蓋形成術は1歳6か月頃におこないます。また、口蓋裂手術前は中耳炎にかかりやすいので耳鼻科で診察していただくことがあります。

言語管理

口蓋形成術が終わって1か月経過した頃からことばの練習が始まります。はじめからことばを話す練習はできませんが、鼻咽腔閉鎖機能を獲得するため、遊びを通して吹く練習をおこないます。発語は次第に多くなり、ことばが完成しますので、その経過を観察して異常な発音があれば訓練をおこないます。

咬合管理

口唇口蓋裂の患者さんは咬み合わせの管理が必要となることが多いです。4歳頃に矯正歯科に紹介し咬合管理を開始します。顎裂がある場合は小学校中〜高学年の時期に顎裂部に腸骨を移植する手術をおこないます。あごの大きさのバランスを考え、外科的な12. 矯正治療をおこなう患者さんもいます。

口唇・鼻の修正

術後経過から修正が必要と思われる場合におこないます。

図3は当院の口唇口蓋裂専門外来における治療のスケジュールを示したものです。口唇裂だけの場合は左端を上から下まで追ってください。口蓋裂の場合は右端を、また口唇裂と口蓋裂が合併した場合は中央部をご覧ください。

図3 治療スケジュール

 

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