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 ハワイ学会旅行記              宮脇 昭彦




2007年10月、第89回アメリカ口腔顎顔面外科学会、日本口腔外科学会、大韓口腔顎顔面面外科学会合同の学会に参加してきた。医局からは、中村教授、比地岡先生、石田先生、それと私の4名が参加した。場所はワイキキビーチからカラカウアアベニュを西へ約3km、アラワイ運河に沿ったところにあるハワイコンベンションセンター。学会最終日、教授から「Best Presentation Awardをゲットした」と弾んだ元気な声の電話連絡があり、すぐに会場に向かおうとしたが、バスがなくてワイキキのショッピング街をひたすら西へ歩いていったからよく覚えている。常夏ハワイも10月になれば雨期にはいり、最高気温も30度を切るそうであるが、学会のころはまだカラッとしていて歩いていて汗はかくが、すぐに乾くほどであった。夜になるとこのアベニュのあちこちのホテルではエンターテインメントが繰り広げられ、ショップ、バー、食事とバカンスに必要なすべてがそろっていて、毎日がフェスティバルである。




 私がハワイに訪れるのは初めてで、なかなか詳しい描写はできないが、何もかもが(アロハー)で、学会どころではなく、そこはやはり世界のリゾート、私たちが、少し緊張気味の疲労感をもってレトロな雰囲気のホノルル空港に降り立った時には、既に大勢の団体旅行客や新婚旅行客はもちろん、いっしょに同行した日本の大学、韓国から学会に参加する重鎮たちもみんなアロハーでポリネシアンな雰囲気に同化していた。ただ、私たちは、エントリー2演題(ちなみに演題名 「Usefulness of FDG-PET in the management of oral squamous cell carcinoma」と「Postoperative evaluation of primary unilateral cleft lip and nose correction by medial-upward advancement of nasal alar components with vestibular expansion」という腫瘍チームと口唇口蓋裂チームの2題)が幸運にもAwardの候補(全演題中15%に限定)にノミネートされており、学会ではジャッジングを受けることになっていたため、気楽にアロハーな気分に乗り切れなかった(少々田舎者で怯み(ひるみ)があったかもしれないが・・)。実際、ホノルル空港に着いてからシェラトン・プリンセス・カイウラニという宿泊ホテルに向かい、学会場でツアーの注意事項等を聞き、携帯電話を借りて、オプションツアーのバナナボートの打ち合わせをしてから以降は、他大学のメンバーと学会場で会うことは少なかったのである・・。

 さて、ハワイの学会は朝が早く、毎日朝6時半から始まり、2時頃にはほとんどの会場が終わる。また国際学会だからであろうか、お祭り的なところもあって、多くの人がリゾートウエァ(つまりアロハシャツ)で参加し、そのまま観光やショッピングに出かけているのであろう。学会前日にあったヒルトンハワイアンビレッジでのウェルカムレセプション会場は迷子になるくらいの人出だったにもかかわらず、学会当日の人出はまばらで、体育館のような広いシンポジウム会場には数えられるくらいの人しかいなかった。それでもそれぞれに別れた会場では、少人数ながら、演者の発表が終わると、所属や名前も名乗らずに(単に聞き取れなかっただけかも知れないが)、どこからともなく質問がでて、ディスカッションが活発に始まり、日本では見慣れないようなアメリカの学会の自由闊達な雰囲気を垣間見ることができた。学会場では、私は主にポスター会場を中心に勉強していたが、アメリカの口腔外科もDDSシングルライセンスで今後も行くと言いながらも、悪性腫瘍関係の発表は日本人ばかりで、アメリカはインプラント、外科矯正、抜歯に関すること(ちょうど私たちのポスターの横では今問題になっているビスフォスフォネートの演題もあった)の発表が多かったように思う。私たちは口腔外科医として腫瘍のスペシャリストを目指しているが、一方では、将来的に歯科に特化した部分も見据えながら進んでいかないといけないなと感じた。

 毎日、学会を終えるとワイキキビーチの賑わいに身を置きながら、心地よい緊張感は保ってはいるが、当然ながら、ちょっとアロハーな雰囲気と同化してきつつ、本当は90%バナナボートに気が向いていながらも、プレゼンとジャッジングの日を向かえようとしていた。私たちは、ジャッジング前日もダイヤモンドヘッドへ登り下りする途中の道で、また、夜もホテルの一室に集まって、大胆にもAward受賞に恥じないようにと、質疑応答の特訓をした(本当にAward を取る気だ)。その甲斐あってかジャッジング当日は、トップバッターにも関わらず、スムーズなプレゼンができたように思う。ただもう少しプレゼン力があったら結果は違っていたかも知れない。オーソドックスな鹿児島県人にプレゼン力なんて考えられないが、しかしここアメリカはプレゼンの国である。写真にみる教授のような身体全体でアピールする自己主張が足りなかった。私は気がつかなったけれど、身振り手振りの指が思わず鼻の中に入っていたのではと心配するくらいでないと、プレゼンの国アメリカでは通用しない。教授には見習うべき点が非常に多いと痛感させられた。今後、私たちに課せられた課題のひとつはプレゼン力であろう。プレゼンが終わった夜はホッとしてしこたま飲んだにも関わらず、教授だけは翌朝早く学会場に行き、「Best Presentation Awardをゲットしたヨ」と電話してきた。冒頭に述べたとおり、一番元気な教授なのである。ちなみにそのとき、私と比地岡先生は、ゆっくり起きて、シャワーを浴びている最中で「誰がAward取ったのですか?」と聞き返す始末であった。




 学会もほぼ終わった頃、九州大のメンバー、熊本大のメンバーといっしょにワイキキ沖合のナイトクルーズを楽しんだ。赤く染まる太平洋の水平線に沈む夕陽、その夕陽に映えるダイアモンドヘッド、まるごと一匹のロブスター、ポリネシアンショー、美人のハワイアンダンス。これは格別だった。私は薩摩にいてもハワイでもどこにいても相変わらずの飲み方で、ロブスターと戯れていたようであるが、すでに遠い記憶となった今では、ナイトクルージングの雰囲気は写真で味わうしかない。みなさんもどうぞ写真で味わってみてください。・・・でも、なんで○○先生がポリネシアンの格好をして踊っているんだぁ?




 最後に男4人で、夕暮れのワイキキのビーチを裸足で歩きながら、南十字星を探した。(本当にここから南十字星が見えるのかぁ?)という全く星空に疎いメンバーで結局南十字星をみつけることはなかったが、国際学会でAwardをゲットしたことは医局にとって大きな収穫であり、私たち腫瘍チームにとっても非常によい刺激をうけ、実践的な英会話の経験とプレゼン力が試されたハワイの学会であった。今後やることは分かっている。永遠の大器晩成から脱却し、腫瘍チームとしての実績をつくり、医局、さらには同門会員の皆様に貢献できるように精進していきたいと考えている。
しかし、今度来るときも・・・もう一回バナナボートかな。海中散歩も意外とよかったな・・・水上オートバイも。本当にハワイは楽しい。

 

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