鹿児島大学小児歯科の歩み
当教室の前身である「鹿児島大学歯学部 小児歯科学講座」は、1982年に日本大学より初代教授の小椋 正先生をお迎えして開講されました。その後21年を経て、2003年2月に九州大学より第2代教授として山崎要一先生が赴任されました。大学院重点化に伴い、4月からは現在の名称である「鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 小児歯科学分野」に改組され、また10月には病院統合がなされ、「鹿児島大学医学部・歯学部附属病院 小児歯科」が誕生しました。
教室の基本理念として、@ 小児に関する歯科医療は何でもできる小児歯科医となること、A 医療においては患者さんが主役であり、小児歯科医は子どもの歯科治療のプロとしての技術提供に留まらず、成育歯科医療や障がい児・者歯科診療のような総合的対応が求められる場合のコーディネーターとなること、そして、B 地域活動に貢献できる社会歯科学的観点を持った歯科医師となることを目標として、臨床、教育、研究を展開しています。
「小児歯科学は臨床学問であり、研究は臨床の場に役立つものであってほしい。」と言うのが山崎教授の持論ですが、ここ数年、当教室の臨床研究が歯科分野だけでなく医科領域からも注目され、数多くの表彰を受けています。
また、早崎治明准教授が平成22年4月より、新潟大学小児歯科の教授に就任することが決まりました。
小児期の齲蝕管理に偏り過ぎた小児歯科医療は、今後ますます縮小に向かうことでしょう。代わりに低年齢からの歯列咬合管理や歯周病予防も含めた小児期の総合的な口腔健康増進を中心に据え、歯科医療者側が患児や保護者と継続的に関わりながら、「口の働きを通して、子どものこころとからだを育てる」成育医療を推進することが、今後の小児歯科医療の潮流となるでしょう。
錦江湾からそびえ立つ桜島のように、鹿児島大学小児歯科学分野は、南九州の地から小児歯科学発展のために力を尽くして行きます。