ご挨拶
鹿児島大学小児歯科学分野は、生後間もない乳児期から永久歯の歯ならびが完成し、成人期を迎えるまでの間、総合的なお子様のお口の健康増進を目指して、臨床と教育、研究を担当しています。
主な診療内容は、@むし歯や歯周病の予防管理、A恐がりで通常治療が受入れられないお子さまのむし歯治療、B外傷で歯が欠けたり抜けたりした場合の対応、C正常な歯の生え方を乱す障害物の除去手術、D言葉の学習や歯磨きの支障となる上唇小帯・舌小帯のレーザー手術、E思春期前後の若年者顎関節症への対応、F摂食・嚥下機能障害への支援などがあります。また、特に力を入れているのは、@障がい児・者のお口の健康管理、A歯ならびやかみ合せに異常のある低年齢児のかみ合わせの早期治療、Bホッツ床を使った口唇口蓋裂児の顎の成長誘導と哺乳指導です。
発達障がいのある方で、通常の歯科治療を受け入れることが難しい場合は、静脈内鎮静や全身麻酔を使って眠った状態で集中的に治療を行い、その後は定期的な健診と予防によりお口の健康を維持します。
小児歯科医は、お子さまが定期的な健診を受けられることを重要と考えています。子ども達と長く接することで、成長期を通して起こる歯や口の様々な異常を予見あるいは早期に発見し、対応することができます。そして、歯や口の健全な成長と機能発育の達成に向かってともに歩み、自分の健康は自分で守る意識と技術を身につけて頂くことができます。それは一生の財産として、子ども達が成人期や高齢期を迎えた時にも、健康で豊かな人生を送るための基盤となるでしょう。
このような背景から、当教室の研究テーマは、小児期の顎口腔機能(がくこうくうきのう:口の働き)の解明に主眼を置き、その結果は、業績欄に示すように国内外で高い評価を頂けるまでに育ってきました。これらの研究成果が日々の小児歯科診療の成績を向上させ、子どもたちの健康増進に役立つように努めています。
また、鹿児島県は数多くの離島・僻地をかかえ、地理的条件により子どもたちが一定水準の歯科治療を受けることが困難な状況もあります。当教室は小児科医や鹿児島県歯科医師会、および地域の歯科医と緊密な連携を図りながら、積極的に離島巡回診療を担当しています。
鹿児島大学病院は鹿児島県の拠点医療機関であり、当教室は南九州地域における小児の歯科医療水準の向上を図るために、これからも積極的に活動していきます。
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 小児歯科学分野 鹿児島大学病院 小児歯科
教授 山 崎 要 一