研究
研究テーマ
1.三叉神経系の日内変動
睡眠や覚醒をはじめとする様々な生理機能には約24時間のリズムがあります。時計遺伝子の発現に応じて細胞にリズムが形成され、細胞の集合体である組織や器官にもリズムを発生させます。そこで、日常の臨床でも身近な三叉神経系における日内変動について研究しています。
2.口腔内細菌の菌体内毒素(LPS)による発達障害様行動誘発メカニズムに関する研究
口腔内細菌の菌体内毒素(LPS)による発達障害様行動誘発メカニズムに関する研究を行うために、現在細胞を用いた実験を行っています。
3.歯科治療・口腔外科手術時の自律神経活動
歯科治療や口腔外科手術は痛み、不安、緊張による自律神経活動の変動から異常高血圧や血管迷走神経反射などの全身的偶発症を引き起こす可能性があります。われわれは安全な歯科治療環境の構築、周術期ストレスの可視化を目的として、歯科治療・口腔外科手術時の自律神経活動の評価、解析を行っています。また、歯科治療中の音楽聴取が自律神経活動にどのような影響を与えるかについても研究を行なっています。
4.骨分化誘導におけるALK5の働き
高齢化社会において骨粗鬆症患者の増加など、骨代謝制御機構の解明は急務となっています。われわれはTGF-βI型受容体であるALK5に着目し、ALK5の骨分化における役割及びシグナル経路の解明を行っています。現在はマウスの骨髄由来間質細胞や骨芽細胞前駆細胞を用いて、TGF-βの受容体の1つであるALK5の働きを解明するために実験を行っています。
5.聴性誘発電位と脳波の解析による新規全身麻酔薬レミマゾラムの至適鎮静度評価法の検討
私たちの研究は聴性誘発電位と脳波の解析手法により、レミマゾラムの至適鎮静度の指標を探索することを行っています。本研究課題は先日、歯科麻酔学会若手研究助成にも採択されました。AEP、BIS、Sedlineの3種のモニター機器を使用して、麻酔導入中の数値の変化からそれぞれの関係性を見つけ出し、より分かりやすいレミマゾラムの鎮静度評価方法を発見することを目指しています。現在、臨床工学技士の方々に協力していただき、測定を開始した段階ですが、丁寧なデータサンプリングを行い、研究成果を国内外へ発信していきたいです。
6.神経障害性疼痛発症時の負情動行動発現におけるPACAPの役割
末梢神経障害は慢性疼痛を惹起する。その難治性には心理的な要因が強く影響しており、うつ病や不安障害などの情動反応との関連が強いことが知られている。認知行動療法に代表されるように一部の患者に対してはこの心理的な要因への対処が重要であり、これに対して薬理学的なアプローチを行うためには痛みに起因する負情動反応を媒介する神経回路・伝達物質の解明が必要となる。我々は、神経障害性疼痛発症を媒介するとされるPACAPの中枢での情動反応惹起における役割を検討している。
7.ヤングケアラー経験者に関する研究
鹿児島大学医歯学総合研究科地域医療学分野に在籍しております。主に質的研究を行っております。探索的順次混合研究法を用いて、ヤングケアラー経験者から経験談・体験談を聞かせて頂き、「語り」からヤングケアラーに必要な支援や精神的・身体的影響等をグラウンテッドセオリー法や性格検査等で解析していく予定です。