発展途上人の夢繋ぐ場所を目指して
歯科麻酔全身管理学分野
杉村光隆
みなさん、鹿児島大学歯科麻酔全身管理学分野のホームページにようこそ!
鹿児島大学は、平成15年に病院および研究科がいずれも医科と歯科が合併してそれぞれ鹿児島大学病院、そして医歯学総合研究科となりました。地域医療への貢献、そして研究で得られた知見の世界への更なる発信を目指す学府に変身し、今まさにその発展途上にあります。その中で当分野は、歯科患者の皆様が、安全で快適な歯科医療を受けていただくことを目指して、スタッフ一同奮闘しています。
日本では「歯科麻酔」という言葉は、1890年代に笑気(亜酸化窒素)によるガス麻酔下での抜歯に始まるとされ、私たちが所属する日本歯科麻酔学会は1966年(昭和41年)に第1回歯科麻酔懇談会として産声を上げました。歯科麻酔学は生理学、薬理学、そして内科学を主体として成り立っている学問です。歯や口腔の感覚は鋭敏で、その領域の疾患は時に痛みや痺れ、すなわち局所的な侵襲をともない、治療時には恐怖や不安を生じます。これらの身体的かつ精神的ストレスが複合的に作用して呼吸器系や循環器系などの全身の異常を引き起こすことがあります。
歯科麻酔科医は歯科患者の安全を確保するために全身麻酔法、静脈内鎮静法などを駆使して全身管理を行います。また、繊細な感覚を持つ口腔領域の慢性的な痛みや痺れの治療も行っています。しかし、医療安全のための麻酔行為は、上手に行わなければ危険性を秘めています。特に高齢者や有病者においてはその安全域は狭く慎重な対応が求められます。歯科麻酔科医は歯科治療や口腔外科手術による侵襲と麻酔による侵襲を考えながら、両者を制御する術を臨床や研究を通して日夜研鑚し、安全で快適な歯科治療環境の提供に努めています。また、超高齢社会に巣立つ歯科研修医や歯学部学生に歯科麻酔学の重要性や面白さを説いています。
鹿児島大学は地域貢献を重視していますので、私たちも鹿児島県歯科医師会、鹿児島県歯科医師会立口腔保健センター、宮崎市郡歯科医師会・宮崎歯科福祉センター、鹿児島市立病院等を中心に近隣の歯科医療施設と連携し、歯科麻酔の立場から地域医療に微力を尽くしています。
医学は日進月歩で進化していますので、歯科麻酔全身管理学に対する私たちの構えは常に発展途上人であり、その臨床や教育に還元するための研究を、ただひたすら未来に向かって継続し続けることに喜びを感じ、そんな発展途上人の夢繋ぐ場所を作るために今日も邁進しています。みなさん、是非、鹿児島大学歯科麻酔全身管理学分野に遊びにいらしてください!