研修歯科医と指導歯科医の理想とする研修医像の相違
中島紀一郎1)、古川周平1)、北村優奈1)、馬渡星良1)、河野博史1)、岩下洋一朗2)、田口則宏1, 2)
1) 鹿児島大学医学部・歯学部附属病院 歯科総合診療部
2) 大学院医歯学総合研究科 歯科医学教育実践学分野
【概要】
歯学部卒業後に1年間の歯科医師臨床研修が実施されます。臨床研修の到達目標は厚生労働省により標準的なものが示されていますが、研修歯科医(以下、研修医)が自分の目指す目標をどこに設定しているのか、指導歯科医(以下、指導医)は研修医にどの程度のレベルまで達することを求めているのかを知ることは臨床研修を効果的に進めるうえで極めて重要です。平成25年度鹿児島大学病院の歯科臨床研修における研修歯科医23名と指導歯科医63名を対象に、理想とする研修医像の相違についてアンケート調査を行いました。
その結果、目指す研修医像とはどのようなものかという問いに対して、双方の類似点は、基本的な技術を身につけ、ゆっくり丁寧に研修を進めるということでありました。一方、相違点としては、研修医は目指すところとして基本的な技術の修得を挙げ、これに必要なのは積極的な姿勢であるとの考えに対して、指導医は、まず目指すべきなのは医療者あるいは学習者としての姿勢を身につけることで、そのために必要な技術・知識などをバランスを取りつつ習得するとともに、指導医との関わりを求めている、ということが明らかとなりました。以上のことから、1年間の臨床研修における教育の提供側と受け手側に考え方の違いがあることが明らかとなり、この辺りを十分配慮しながら研修を進めていく必要があります。このなかで、研修医と指導医の関わりを密接にすることは、臨床研修の充実に寄与することが明らかとなりました。この結果を研修医・指導医の両者に周知し、より効果的な研修が行えるようにしていきたいと考えています。