本学部は昭和５２年（1977）１０月に発足した。学部の開設に際し、設立準備委員長（当時：医学部長）であった大森浅吉教授（解剖学）から仙波輝彦（九州大学歯学部助教授）と小片丘彦（聖マリアンア医科大学助教授）は口腔解剖学講座の担当予定者として指名を受けた。本学部発足当時は従来の講座運営に種々の弊害が学内外から指摘されていた時節柄、大学や学部の新設にあたっては講座間の意識としての壁を除く意味から、学部編成を大講座制として組むこととなり、いわゆる第１講座および第２講座はそれぞれ口腔解剖学講座（１）および口腔解剖学講座（２）と表記することとなった（この小文では慣習にならい、口腔解剖学第一講座、口腔解剖学第二講座と表記する）。解剖学教育は仙波が組織学・口腔組織学・歯牙解剖学を中心とした分野を、また小片が肉眼解剖学を中心とした分野を担当することとなった。これらふたつの口腔解剖学講座の開設は学部発足より１年６ヶ月遅れて、学年進行とともに昭和５４年（1979）４月１日に設置された。

　本講座開設時の構成員は教授仙波に加え、助教授和田薫（九州大学歯学部助手）、助手中間孝子（九州大学理学部卒）、事務官松田千代子であった。その後、事務官松田の転出に伴い昭和５５年技官日渡鈴子が着任し、翌年４月１日に助手田畑正志（九州大学農学部修士課程修了）が加わり、講座の定員が充足された。仙波は昭和６２年から４年間歯学部長を務めて平成４年３月停年退官した。

　仙波の後任教授としては、平成４（1992）年７月１日付で植村正憲（長崎大学歯学部口腔解剖学第１講座助教授）が着任し、新しい講座の運営が始まった。同８月３１日 12年間在職の助手鼎（旧姓 中間）が出産のため退職し、その後任として平成５年３月１日に発生学を専門とする助手安井金也（京都大学理学部博士課程修了）が赴任した。また、平成５年１２月１９日に教室創設以来教育・研究に尽力された助教授和田薫は胃癌のため急逝され（享年52才）、後任として尾崎宏基（長崎大学医学部助教授）が平成７年２月１６日に着任した。尾崎は平成９年６月３０日付けで富山医科薬科大学生物学教授として昇任転出し、この後任として助手の安井が平成１０年５月１日付けで助教授に昇任した。また、助手の田畑正志は平成１０年１月１日付けで九州大学農学部助教授として昇任転出し、後任として平成１０年３月１日に中嶋充生（熊本大学歯科口腔外科助手）が着任した。平成１０年１２月付けでは植村、安井、中嶋の３教官および技官の日渡の４名が教室を構成していた。平成１１年４月１日 本学部卒業生で歯科麻酔学で１年研修医を経験した尾木秀直を助手として採用した。平成１２年１０月３１日付けで中嶋充生は熊本大学歯科口腔外科の医局員として、また尾木は平成１３年３月３１日付けで熊本大学歯科口腔外科大学院入学のために退職した。安井は平成１３年３月３１日付けで熊本大学発生医学研究センター・形態発生部門の助教授で転出した。平成１３年４月１日付けで助手として梶　豪雄（熊本大学発生医学研究センター・形態発生部門大学院退学）と山中淳之（京大理学部人類学大学院退学）が着任し、同７月１日に助教授として田畑 純（大阪大学大学院歯学研究科助手）が昇任着任した。また、平成１４年３月末で梶　豪雄助手が留学のために辞職、かわって４月１日付けで薗村貴弘（鹿児島大歯学部）が助手に着任した。平成１５年には事務を担当していた日渡が異動、新たに浜田まいかが後任となった。同年４月には鹿児島大学医学部、歯学部の大学院医歯学総合研究科への改組に伴い、先進治療科学専攻・神経病学講座・歯科機能形態学分野として名称を変え、研究室の指向をより明確にした。平成１７年３月に事務を担当していた浜田が退職した。 平成１９年１月３１日付けで助教授の田畑 純が東京医科歯科大学硬組織構造生物学分野の助教授で転出。平成１９年４月１日付けで山中および薗村が助教となり、新たに岩井治樹（鹿児島大学大学院医科学専攻）が助教として、翌月の平成１９年５月１日付けで、坂ノ下美穂子が事務担当として着任した。山中が平成２０年１月１日付けで講師に、平成２２年７月１日付けで准教授に昇任した。平成２５年３月末で植村正憲教授が定年退職、事務を担当していた坂ノ下が退職し、同８月末付けで助教の薗村貴弘が金沢医科大学医学部解剖学IIの講師として転出した。

　植村の後任教授としては、平成２５（2014）年４月１日付で後藤哲哉（九州歯科大学歯学部頭頸部構造解析学分野准教授）が着任し、新しい講座の運営が始まった。同６月１日付けで、中村由香が事務担当として着任した。また、９月１日付けで、倉本恵梨子（川崎医科大学医学部）が助教として着任した。現在、後藤、山中、倉本、岩井、中村の５名で教室を構成している。（平成２７年４月）