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dpr and sod in Streptococcus mutans Are involved in Coexistence with S. sanguinis, and PerR Is Associated with Resistance to H₂O₂

藤島 慶 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 顎顔面機能再建学講座 口腔顎顔面補綴学分野・助教

概要

 う蝕原性菌である Streptococcus mutans は、様々な口腔細菌が存在するデンタルプラーク中において、他の口腔細菌と共存、拮抗を果たしています。デンタルプラーク中に存在する様々な口腔細菌のうち、Streptococcus sanguinisは主要な口腔細菌の一つであり、多量の過酸化水素を産生することが知られています。過酸化水素はスーパーオキシドアニオンやヒドロキシルラジカルなどの活性酸素の一種であり、活性酸素は細胞膜の損傷やDNAの損傷など深刻なダメージを引き起こします。本研究の目的は、S. mutansS. sanguinisの産生する過酸化水素に対してどのような感受性を示し、どのような機序で耐性を担っているのかを解明することを通じて、デンタルプラーク中における、S. mutansS. sanguinisとの共存機構の解明を目指したものです。

 申請者はS. mutansが所有する酸化ストレス耐性因子であるdprsodahpCF に着目しました。申請者はこれら3つの耐性因子の欠損株を作製し、過酸化水素に対する感受性検証を行ったところ、dprsod の欠損株では、著しく過酸化水素に対する感受性が上がり、一方、ahpCFの欠損株では感受性に変化は認められませんでした。これより、過酸化水素の感受性には、dprsod が関与することが明らかになりました。

 次にこれら耐性因子の制御システムについて検証を行いました。制御因子としては、他菌種において過酸化水素耐性因子遺伝子発現制御への報告があるPerR、RggDに着目しました。各々の欠損株を作製し過酸化水素に対する感受性検証を行ったところ、perR欠損株においてのみ低感受性が認められました。さらに、perR欠損株において、有意なdprの発現上昇が認められたことから、S. mutansは、調整因子PerRがDpr発現を制御することでS. sanguinisの産生する過酸化水素に対し耐性を獲得していることが明らかになりました。

gakkai20150625

【本研究の意義・重要性】

 本研究から得られたS. sanguinisの産生する過酸化水素へのS. mutans の耐性獲得機構の解明により、今後様々な口腔細菌が存在する口腔内でのS. mutans の定着機構の解明が可能になると考えられます。将来的にはS. mutansの定着阻害剤開発への応用が期待され、本研究成果がS.mutansによる口腔疾患および全身疾患への予防への足がかりになると考えています。

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