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Morphological differences of facial soft tissue contours from child to adult of Japanese males : a three-dimensional cross-sectional study

村上 大輔 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 発生発達成育学講座 小児歯科学分野・助教

概要

 小児から成人に至る顔面の形態的変化についての過去の研究は、二次元的な計測がほとんどで、三次元解析がなされている報告は少なく十分な知見が得られていない。そこで本研究では、日本人男児と成人男性の顔面の軟組織表面形態の三次元的な差を評価することを目的とした。

 対象は健康な日本人男児20名(平均年齢5.5歳)と成人男性20名(平均年齢28歳)とし、非接触三次元デジタイザVIVID 910を用いて顔面形態の計測を行った。出力された三次元画像に16点の顔面計測基準点(基準点)をコンピュータ上でプロットし、独自に考案した三次元座標系に反映させて、小児と成人それぞれについて各基準点の座標値および原点から各基準点までの距離を算出し、小児と成人で各基準点の形態相異量を解析した。さらに、 Procrustes法にてスケール調整を行った後、小児と成人の基準点に関する形態を比較した。

 その結果、形態相違量は、鼻の成長に関連する部位と下顔面領域において成人で高値を示した。形態比較では、小児に比べ成人では全体として前下方における形態差が認められ、鼻と下顔面では前方における形態差が大きく、上顔面の側方への変化は小さかった(下図)。

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スケール調整後の小児(赤)と成人(青)の形態比較

 基準平面の設定は分析の目的によって選択する必要はあるが、本研究で採用した座標系は、三次元レーザースキャナによる顔面軟組織形態の分析に有効であることが示唆された。また、小児と成人における顔面軟組織の形態的相異を、三次元基準座標系を用いて評価することにより、成人になると顔面形態が側方に比べ前下方に大きくなることで、より深みのある面長な顔貌に変化することが示された。

【本研究の意義・重要性】

 本研究で採用した新しい座標系は、短時間の撮影で三次元解析を行うことができ、協力を得るのが困難な小児にも応用できることから、成長期における顔貌形態の三次元成長解析に役立つものと期待される。現在、対象者の年齢層をさらに細分化して、小児から成人に至るまでの標準的な三次元成長変化の解析に着手している。

 また、今後は口腔機能不全などの様々な環境要因が顔面軟組織形態に及ぼす影響についても解明し、これらの指標を明らかにした後、将来的には咬合治療や筋機能療法などの歯科的介入前後の解析結果を機能的側面と併せて評価できるようになれば、本研究の臨床的意義はさらに高まると考えている。

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