味覚研究

三浦 裕仁
(Hirohito Miura, Ph.D)

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齋藤 充
(Mitsuru Saito, Ph.D, DDS)

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小島 大知
(Daichi Kojima, 5年生)

第18回歯系研究発表会 最優秀賞(学部生)

平敷 奏来
(Sora Heshiki, 3年生)

       
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[写真] マウスの味蕾(免疫染色)
緑:Ⅱ 型細胞 (IP3R3)は、甘味・うま味・苦味を受容して神経伝達物質(ATP)を放出する.
赤:Ⅰ 型細胞 (NTPDase2)は、Ⅱ 型細胞から分泌されたATPを分解する.
青:細胞の核 (To-Pro3: 核を染色する色素)

味蕾細胞

食べ物を口にすると、私達は様々な味を感じます。口腔や咽頭にある味蕾が食べ物に含まれている味物質を受容し、その情報が味神経を通して脳に伝えられるからです。味蕾には、数10 から100個ほどの細胞が蕾状に集まっています。この中には、甘味を受容する細胞・苦味を受容する細胞など、味を感じる細胞に加えて、味蕾から神経への情報伝達を正常に保つ役割を果たす細胞など、様々な種類の細胞があります。
 味蕾では、これら全ての細胞が常に新しい細胞に置きかえられています(味蕾細胞のターンオーバー)。そのため、味蕾内には機能的に完成された細胞に加えて、未成熟な細胞も含まれています。味蕾細胞の寿命は、細胞の種類によって異なりますが、平均すると、私達ヒトを含むほ乳類の味蕾細胞は 10~14日でターンオーバーしているとされています。今日、味を感じた細胞と2週間前に味を感じた細胞は、別の細胞であるかも知れません。それでも、私達は、いつでも同じように味を感じることができます。味蕾の細胞が、次々と新しく正確に産み出されるのは、どのような仕組みでしょうか?
 また、味神経が切断されると、その神経が繋がっていた味蕾は消えてなくなってしまいます。味神経には、味覚情報を脳に伝えるだけでなく、味蕾を維持する役割があるのです。私達は、1) 味蕾の発生と細胞分化、2) 味神経による味蕾の維持のメカニズムを中心に研究を行っています。

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味蕾のターンオーバーと細胞構成

味蕾細胞は、味蕾の周囲で生まれて(青)味蕾の中に入り、味蕾基底細胞 (IV)細胞となって細胞増殖/分化誘導因子のShh (赤)を発現する。Shhを発現する味蕾基底細胞は、その後、味蕾のⅠ 型、Ⅱ型、Ⅲ型、すべての細胞に成熟分化する。Shhの発現は一過性である。

 私たちは、「味蕾の基底細胞は味神経から誘導を受けてShhを発現すること[Shh(+)細胞]、Shh(+)細胞 は I, II, III型全ての細胞に分化すること、Shh(+)細胞はすでに細胞分裂能を失った細胞で味蕾の外から供給されること」を明らかにしました。 この研究には、Shh(+)細胞で選択的に遺伝子組換えを誘導して、細胞を追跡する方法を用いました。
 また、私たちは、「味蕾一つ一つに含まれているI, II, III型の細胞の割合が大きく異なっていること」を明らかにしました。従来は、味蕾間で大きな差はなく、ほぼ一定であると考えられていました。この研究には、味蕾に含まれる全ての細胞を可視化するWhole mount免疫染色 (下記) を用いました。

Whole mount 免疫染色
この方法を用いると、1回の解析で、1つの味蕾の中で研究対象の分子を発現している全ての細胞を可視化できます。

[動画] マウスの味蕾

赤:II 型細胞 (IP3R3):甘味・うま味・苦味受容細胞
緑:Ⅲ 型細胞 (CA4) :酸味受容細胞
青:細胞の核 (To-Pro3)

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私たちの論文がCell and Tissue Researchの表紙に採用されました。

Prox1 maintains taste bud structure via inhibition of apoptosis
Aya Hagimoto, Eriko Koyanagi-Matsumura, Norihito Oura, Mitsuru Saito, Tatsurou Tanaka, Hirohito Miura
Cell Tissue Res 403(2): article 16, 2026

味蕾では、細胞が常に新しく入れ替わっています。本研究では、このターンオーバーの過程で、転写因子Prox1が味蕾細胞の細胞死を抑制し、細胞の寿命を適切に保つことで、味蕾の細胞数を一定以上に維持していることを明らかにしました。この働きは、味蕾の構造と味覚感受性の維持に重要であると考えられます。

 たくさんのご指導をいただいた 故 原田秀逸 先生 に、感謝申し上げます。

名誉教授 原田 秀逸, Ph.D, VET / Researchmap

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from 10/4/2020 (Website Out)


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