沿革と指針

 1980年から1998年まで,前任の小片教授のもとで形質人類学的研究が行われてきた。1998年8月に肉眼解剖学を専門とする島田教授が着任し,頭頸部はもとより、広く全身について臨床へ応用できるような肉眼解剖のデータを追求していくことをテーマとした研究が開始された。島田は頭頸部の縫線(翼突下顎縫線、顎舌骨筋縫線、咽頭縫線)、顔面表情筋内での顔面神経末梢枝と三叉神経枝の交通枝の形態およびその初期発生、また脈管系としては胸郭縦隔内でのリンパ系、心臓のリンパ系および冠状動脈の肉眼臨床解剖などを研究の中心としていて、これらの研究を母体として発展、展開してきた。また,1999年に東京歯科大学より着任した田松は、マイクロCTを用いた骨の力学と内部構造、内分泌器官との関係や、顔面表情筋とシワの関係、および舌内の神経走行分布の研究を遂行した。 峰はヒト精巣動脈の形態について血管鋳型模型と解剖を中心に研究を進めている。緒方は、舌骨に付着している舌骨筋の形態とそれらの筋の神経支配に関する研究によって平成14年度に学位を取得した。これまで、脈管系の微小形態解析、自律神経系の形態解析などにも研究分野を拡大し、口腔領域にとらわれることなく人体構造について幅広く研究を展開し臨床系の各講座とも連携をとり臨床解剖を念頭に置いた研究に発展させてきた。
 従来は講座の英語名として "Department of Oral Anatomy" を用いてきたが,歯科医学に必要な知識は決して「口腔解剖学」だけではないため,前述のように口腔領域に捕らわれずに研究・教育を行うことを踏まえて2000年4月より当講座は "Department of Anatomy for Dental Science" とした。その後,2003年4月より大学院大学化により研究室名が改変され人体構造解剖学分野とした。

 2014年3月末に島田教授が定年退職し、2016年3月に田松が教授に就任した。同年4月分野名を解剖法歯学分野とした。



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