口腔癌における新規バイオマーカー検索と特異遺伝子に対する新規核酸抗がん薬の開発

  1. 研究紹介
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口腔癌における新規バイオマーカー検索と特異遺伝子に対する新規核酸抗がん薬の開発 / 研究者:久米 健一

悪性腫瘍に罹患した患者の生存を大きく左右するのは遠隔臓器への転移の有無であると考えられています。現在、転移を起こすメカニズムはEMT(epithelial-mesenchymal transition:上皮間葉転換)を起こした腫瘍細胞が原発巣から離れ、血管やリンパ管を通路として離れた臓器に辿り着いたのちに、MET(mesenchymal-epithelial transition:間葉上皮転換)を起こして再度定着し、腫瘍塊を形成すると考えられています。しかしながら、実際の生体内において口腔がん細胞が血管やリンパ管内に進入し、METを起こして定着する詳細なメカニズムや中心となる因子についての解明はほとんど進んでいないのが実情です

細胞同士をつないでいるは主にE-カドヘリンという膜貫通タンパクですが、これはSnailという別のタンパク質によって発現が減弱することが分かっています。しかし、過去の私の実験では口腔がん細胞にsnailを強発現させた細胞ではE-カドヘリンの発現が低下しても転移を起こしませんでした。これは細胞遊走、浸潤、転移を起こすには別の機構が働いている可能性が高いと思われます。
最近は遺伝子発現を制御しているmicro RNA(miRNA)という18~22塩基程度の1本鎖RNAが注目されています。そこで約800種あると言われているのmiRNAも検索することでEMT、METを起こす機序を解明できるのではないかと考えられます。この機序を解明することで 、この部分をターゲットとした薬剤の開発も視野に入れて研究を続けていきます。

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